音楽的に拮抗する実力の持ち主だったという天才ベーシスト、スコット
・ラファロ。

その卓越した技巧と閃きに満ちたベース・ワークは、ビル・エヴァン
ンス・トリオのライブ盤の傑作『サンデー・アット・ザ・ビレッジヴァンガ
ード』や『ワルツ・フォー・デヴィー』などで存分に堪能することができ
ます。
アコースティック・ベースの一大革命児と言っても過言ではないスコ
ット・ラファロですが、天才の宿命というべきか、悲運の事故のために
わずか25歳とうい若さで夭折しており、そのプロとしての活動期間は
わずか6年という短さでした。
その活動期間の短さから、彼が参加した音源の方はともかく、その
勇姿を確認できる映像の存在は、ほとんど皆無といってもいいので
はないでしょうか。もしも存在するならば、以前紹介したクリフォード・
ブラウンのものと同じくらい貴重なものでしょう。
ちなみに、以前、1965年のビル・エヴァンス・トリオの「ワルツ・フォ
ー・デヴィー」の動画の中のベーシストがラファロとして紹介されてい
ましたが、この頃ラファロはすでに亡くなっているので、あれはチャッ
ク・イスラエルスの間違いかと思われます。とはいえ、イスラエルス
は、どこかラファロと見た目も雰囲気も似ているようですが・・・
今回紹介するのは、天才ベーシスト、スコット・ラファロがエヴァンス
のトリオに参加する前の1958年の映像で、テナー・サックス奏者の
リッチー・カミューカのクインテットにサイド・メンとして参加していると
いうものです。
映像をみてもらうとわかるのですが、この映像の中でベースを弾い
ている人物は、一般に知られているラファロの肖像写真よりも若干太
めな印象で、私は最初にこれを見たときは、この人物が本当にラファ
ロ本人なのかいまひとつ確信が持てませんでした。
ただ、演奏の方にじっくりと耳を傾けてみると、その強靭で躍動感
のある4ビートラインは確かにラファロらしいですし、短いながらも流
麗なソロ・プレーは,いかにも彼らしい雰囲気を醸しています。
ということで、ラファロのディスコ・グラフィーをチェックしてみると、や
はり1958年の4月にリッチー・カミューカやピアノのカール・パーキン
スほか、西海岸のミュージシャンたちとアルバムを吹き込んでいるこ
とがわかりました。しかもタイトルがフューチャリング・スコット・ラファロ
となっていることから、ほとんど准主役級の扱いだったことがわかりま
す。フロントがトロンボーンとテナー・サックスという特徴的な組み合わ
せであることも合致する点です。
また、このアルバムの演目の中には、この映像の中で演奏されてい
る2曲、すなわち「Cherry」と「Chart Of My Heart」が含まれている
ことからも、このべーシストはスコット・ラファロ本人と断定してほぼ間
違いないのではないでしょうか。
Cherry
Chart of my heart
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