者ファブリッツィオ・ボッソほか注目の若手ミュージシャンで構成された
"ハイ・ファイヴ・クインテット”の人気は高く、彼らの新作『ファイヴ・フォ
−・ファン』の評判は上々のようです。
ファイヴ・フォー・ファン(6ヵ月限定スペシャル・プライス)

曲目
1. ファイヴ・フォー・ファン
2. オホス・デ・ロホ
3. コズィ・コメ・セイ
4. パンダグル
5. ハッピー・ストロール
6. エストゥディオ・ミステリオーソ
7. インセプション
8. エヴァンズ・イーヴン
9. ニノズ・フラワーズ
10. ナティ
11. ア・シェイド・オブ・ジェイド (日本盤ボーナス・トラック)
12. リジア (日本盤ボーナス・トラック)
元来”はやりもの”には一定の距離を置く?私も、「6ヶ月限定価格」
なる巧妙なセールスにのせられて(笑)ついついこのアルバムに手が
延びてしまいました。ジャズっぽさのない、どこか健康的でおしゃれな
感じのジャケット・デザインもいいですよね。
色んなところで「クールな」とか「新しい」とか「クラブ・ジャズ・シーン
にも大うけ」といった謳い文句が踊っていたので、正直なところ、ひと
昔前のサウンドが好みの私にはちょっと合わないかな、なんて思って
いたんですよね。
ところが、実際聴いてみて意外や意外。私の耳には、このハイ・ファ
イヴ・クインテットのやっているサウンドが、昔のブルーノートの一連の
作品、たとえば60年代にトランペットのリー・モーガンなんかがやって
いた音楽にも通じるような”懐かしさ”を感じましたね。(注:ボッソがモ
ーガンに似ているという意味ではないです。)このアルバムのタイトル
曲の「ファイヴ・フォー・ファン」なんて、もろにそんな感じです。
曲によっては、80年代にデビューしたばっかりのウィントン・マルサリ
スが在籍していたアート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズのあの
勢いのある、エネルギッシュなサウンドを想起させるものがありました。
もちろん、このハイ・ファイヴ・クインテットのメンバーは、2000年代
の先端を走っているミュージシャン達ですから、その表現や曲作りなど
は、やはり”現代的”な感性を感じさせます。
思えば、ウィントン・マルサリスが彗星の如くシーンに登場して以来、
アコースティック・ジャズは奇跡的ともいうべき復権を遂げましたが、
その反面、どこか”小難しい””堅苦しい”ジャズが横行していて、本来
のジャズの”楽しさ”が見失われていた時期も確かにありました。
そんなアメリカのジャズ・シーンを、今は亡き名ベーシストのニールス
・ペデルセンが「最近のアメリカのジャズはずっと怒っているような音」
と表現していたことがあって、私も「ウマイこと言うな〜」なんて思って
いたものでした。要するに、いつのまにか聴衆が置いてけぼりを食らう
ようになってきたんですよね。
ところが、このハイ・ファイヴ・クインテットのサウンドは、最近忘れて
いた”明快さ””分かりやすさ”というものに原点回帰しているような感じ
でとても好感が持てましたし、ヨーロッパのミュージシャンによって、こ
んなにも熱いジャズが演奏されているということ自体が痛快ですね。
これなら彼らのサウンドが広く受け入れられるのも納得できます。
それに加えて、アルバム全体に”勢い”や”若さ”が横溢しているのも
大きな魅力なのですが、決して「荒削り」や「ラフな」印象がないのは、
きっと彼ら全員が現在のミュージシャンらしく、卓越した技巧とセンスと
いうしっかりとした裏打ちがあるからでしょう。
ファブリッツィオ・ボッソは、音色が非常に美しく非常に”ウマい””デキ
る”トランペッターですが、テナー・サックスのダニエル・スカナピエコと
いうひともちょっとジョー・ヘンダーソンを思わせる太くて温かいトーン
とクセのある個性的なフレーズが最高です。このひとの哀愁のある音
色が実はこのグループのサウンドのキーになっていると思います。
私のように昔のブルーノートのサウンドが好みの方なら違和感なく受
け入れられるアルバムだと思いますが、ひとつだけ難を言わせてもら
えば、もう少し”黒っぽさ”があっても良いかなと。まあ、これは私の”イ
タリアン・ジャズ”に対する単なる先入観の問題だと思いますが(笑)
ところで、このハイ・ファイヴ・クインテット。今年のブルーノート東京で
のライブも好評だったようですが、このライブを収録したアルバムが来
年(2009年)の2/18に発売される予定だそうで、こちらも今から楽し
みですね。
ファイヴ・フォー・ファン








