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2009年10月26日

2009:10:26:00:05:07

和ジャズの傑作がまた・・・『My Wonderful Life』

   長い間ジャズを聴いていると、実際にその音を聴いていない段階
 で、「ん?!これは良いんじゃないの!」と妙に心に引っかかり、い
 ざ聴いてみると、ズバリその直感のようなものがジャスト・ミートして
 しまうことがたま〜にあるんですが(その逆もアリ!!)、このアルバ
 ムもそんな一枚と言っていいでしょう。

  先月号の『スイング・ジャーナル』誌の記事の中で少し触れ、コメ
 ントを頂いているジスモンチさんにも試聴をおススメして頂いてい
 た故富樫雅彦さんのバラード作品集『My Wonderful Life 』。つ
 い先日に入手して、耳を傾けております。


マイ・ワンダフル・ライフ 富樫雅彦バラード・コレクション
マイ・ワンダフル・ライフ 富樫雅彦バラード・コレクション


  先日リリースされたばかりで、もう少し聴きこんでからレビューする
 ことも考えたのですが、この作品に関しては、まずその鮮烈な印象
 を書いておくのもまた良し! ということで、早速ご紹介させて頂くこ
 とにしました。

  
  天才パーカッショニストとしてだけでなく、日本のフリー・ジャズの
 草分け的な音楽家として知られる富樫雅彦さんは、晩年、病のた
 めに演奏活動の引退を余儀なくされたわけですが、それ以降は作
 曲と絵画に没頭する日々を送られていたそうです。

  そんな富樫雅彦さんのバラード作品を、彼の音楽の最大の理解
 者のひとりであるピアニストの佐藤允彦さんと、やはり富樫さんと
 縁の深い渡辺貞夫さん、峰厚介さん、日野皓正さん、山下洋輔さ
 んとのデュオ、そして佐藤允彦のソロ・ピアノで”歌いあげた”アル
 バムです。

  日本が世界に誇る、これ程のミュージシャンが、それこそ魂を込
 めて演奏しているのですから、もう、ここで改めて触れるまでもなく
 素晴らしいわけで、その詳細はジャズ雑誌のレビューを読んで頂く
 か、実際に音を聴いてもらうのが一番なのですが、私が一番この
 作品に惹かれたのは、ズバリ富樫雅彦さんの書いたメロディ・ライ
 ンそのもの!

  敢えて誤解を恐れず書かせてもらうと、このアルバムを聴き終え
 て、私の心に強く印象付けられたものはというと、躍動するリズム
 やグルーヴ、ジャズ特有のテンション感の強いハーモニーなどで
 はなく、富樫さんの書いた、この上なく優しく、美しいメロディなんで
 すよね。

  どこにも無理がなく、極々自然に流れるメロディ・ラインは、難解
 さなどは微塵もなく、まるで私達ジャズ・ファンが普段耳にすること
 が多いジャズ・スタンダードのようで、曲によっては、あのウォルト・
 ディズニーの映画音楽を想起させるような素敵なものもあります。

  確かに、富樫さんのメロディは、古き良きアメリカ的なものがある
 のですが、どこかフッと日本の情景を思わせるような響きも共存し
 ていて、私の心の琴線に触れるのです。(あまり曲に入り込み過ぎ
 て、思わず涙腺が緩みそうになりましたから。)

  またまた誤解を恐れず書かせて頂くと、作曲を”学問”として学校
 で学んだひとや、商業的な捉え方をしている方にはなかなか出せ
 ない味わいとでも言いましょうか。聴き手の意表を突いたり、奇をて
 らった作曲家の”エゴ”のようなものがないんですよね。

  帝王、マイルス・デイヴィスは、生前、「俺はメロディを食って生き
 ている。」という名言を残していますが、「富樫さんも良いメロディを
 たくさん食って生きてたんだな〜。」そう思わざるを得ないような、
 本当に繊細でピュアな曲ばかりが並びます。

  渡辺貞夫さんにしろ、日野皓正さんにしろ、峰厚介さんにしろ、も
 う、たった一音出しただけで彼ら独自の世界が広がってしまうんで
 すけど、アルバムを通しで聴くと、富樫さんのメロディが一番印象
 の残るというのは、やはり、若き日に富樫さんと共に日本のジャズ
 を牽引し、彼の音楽を熟知している”彼ら”が演奏しているからに他
 ならないわけで、逆に言うと、そんな演奏をさせてしまう富樫さんの
 音楽の”懐の深さ”のようなものも感じますね。

  このアルバムのセールス・コピーに「日本人だからこそ表現出来
 る独自のジャズを〜」とありましたが、「彼らだからこそ表現出来る
 ジャズ」と言い替えたくなる・・・そんな作品。日本が世界に誇れる、
 新しい「和ジャズ」の傑作がまた登場したようです。








ばな1.gif







posted by sou-un at 00:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | オススメの新譜 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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