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2009年10月30日

2009:10:30:00:42:49

孤高の原点。『バターコーン・レディ』/アート・ブレイキー・ジャズ・メッセンジャーズ

  今や”孤高のピアニスト”という趣すらあるキース・ジャレットです
 が、当然のことながら、そんな彼にも、いわゆる”下積み時代”とい
 うものがありました。

  7歳にしてソロ・リサイタルを開いたほどの神童だった彼は、サッ
 クス奏者のチャールズ・ロイドのカルテットで頭角を現し、その後
 はマイルス・デイヴィスのグループへと抜擢され、その才能を大き
 く開花させたことは周知の事実なのですが、ロイドのグループに参
 加する前のごく僅かな期間(4カ月)、あのアート・ブレイキーのジ
 ャズ・メッセンジャーズに在籍していたことがあるのをご存知でしょ
 うか。


 バタコーン・レディ(紙)
アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ
バタコーン・レディ(紙)
曲名リスト
1. バターコーン・レディ
2. レクエルド
3. ザ・テーマ
4. ビトウィーン・レイシズ
5. マイ・ロマンス
6. シークレット・ラヴ

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  あのキース・ジャレットが、ジャズ・メッセンジャーズの十八番ナ
 ンバーを(まさか「モーニン」はやってないでしょうけど。)どんな表
 情で弾いていたのか想像するとちょっとおかしいですが、この『バ
 ターコーン・レディ』という作品は、弱冠20歳のキース擁するジャ
 ズ・メッセンジャーズがロスの”ライトハウス”に出演した時の模様
 を収録したライブ・アルバムで、ある意味大変貴重な記録。

   
  トランペットが、後に『フィールズ・ソー・グッド』というビッグ・ヒット
 を生む、あのチャック・マンジョーネというのもおもしろいのですが
 、この頃は、まだディジー・ガレスピーの影響を思わせるバリバリ
 のハード・バッパーだったのですね。ミュートを付けてソロを演って
 いるのですが、これがなかなか良いんです。

  サックスのフランク・ミッシェルという人は、早世してしまったため
 に、この作品以外にほとんど音源が残っていないそうなのですが、 
 ライナーによると、あのハンク・モブレーのお弟子さんとのこと。
  
  しかしながら、師匠のモブレーとは全く似ておらず、どこから聴
 いてもコルトレーン派といった感じで、なかなか歯応えのあるプレ
 ーを聴かせてくれています。印象としては、ちょっと昔のスティー
 ブ・グロスマンを彷彿とさせるものがあります。

  さて、肝心のキースですが、この間このブログで紹介したアー
 ト・ブレイキーの伝記によると、グループの中ではかなり”浮いた
 存在”だったようなのですね。というか、あまりにも音楽に対して
 真摯が故に、周囲の誤解を招きやすかったというのが正確なと
 ころでしょうか。

  というのは、自身もマルチ・プレイヤーであり、自他共に認める
 高い音楽性を有していたキースは、他のメンバー達と自分の能
 力格差が我慢できなかったらしく、何度も御大ブレイキーに自分
 以外のメンバーをクビにするように進言していたらしい。

  これには流石の御大も閉口したようですが、キースのズバ抜
 けた才能は、彼も認めざるを得ないものでしたし、さりとてキー
 スの言うとおりにするわけにもいかず、そうこうするうちにキース
 自ら出て行ってしまったのですね。

  要は、あのキース・ジャレットも、社会性のないガキだった時
 代があったという訳ですね(笑)。

  この『バターコーン・レディ』という作品に耳を傾けてみると、キ
 −スとグループの不調和とでも言いましょうか、何となくシックリ
 こない感じを聴きとることができるのですが、逆にこれこそがこ
 の作品の聴きどころとも言えるでしょう。

  2曲目では、普通に弾けば良いものの(笑)、ピアノの中に手を
 突っ込んで弦をギターのようにかき鳴らす、当時流行りの奏法を
 いち早く試みるなど、「俺はお前えらとは違うんだ。」的ムードをプ
 ンプン醸していますが、恐らく長いジャズ・メッセンジャーズの歴
 史の中でもこんなことをやったのはキースだけでしょう(笑)。今
 では珍しくも何ともありませんけど。

  ただし、グループとの調和という点では、いまひとつ疑問が残
 る演奏ではあるものの、キースのピアノについてはすでに現在
 に通じるようなスタイルはすでにできあがっていて、流石としか
 言い様がありません。特にあのブレスのない長〜いロングフレ
 ーズは見事!そして、20歳とは思えぬ美しいタッチ!

  ヴォキャブラリーの豊富さは勿論、そのフレーズの歌わせ方
 は、それまでのピアニストには聴かれない、キースならではの
 もので、ちなみに、私の妻は、このアルバムを初めて聴いたに
 もかかわらず、そのピアノ・ソロを聴いてすぐに「あ!これキー
 スでしょ?」と言って簡単に当ててしまったくらいです。

  蛇足になりますが、この頃のキースは、後に彼のトレード・マ
 ークとなるあの”呻き声”は一切なしで弾いています(笑)。
 

  さて、このアルバムですが、「名盤」というよりは、やはり「珍
 盤」というべき部類のものだと思われますね。

  キースのほか、マンジョーネやフランク・フォスターなど、変
 わり種のソロ自体は聴くべきものが十分ありますが、ジャズ・
 メッセンジャーズとしてのグループ・サウンドは全く物足りない
 と言わざるをえません。

  キースのピアノを強調するためか、あまりにも無粋ともいう
 べき編集の痕跡が、このライブ盤の魅力を半減させている感
 は否めませんね。(1曲目はいきなりブッツリですから!)


  それでも聴いてみたいという方は、やはりヤフオク狙いが良
 いと思うのですが、出品は年間を通して決して多くはないと思
 われます。(中古ショップでもあまり見かけません。)

  しかしながら、アルバム自体の知名度は高くないので、それ
 ほど高値は付いていないようですね。2000円以内がひとつ
 の目安になるのではないでしょうか。先程述べたように名盤の
 類ではないので、あまり深追いはおススメしません。








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posted by sou-un at 00:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | ザ・廃盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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