2011年11月19日

2011:11:19:13:37:27

『ベルリンジャズフェスティバルの日野皓正』/日野皓正

  1965年、世界的にも著名なジャズフェスのひとつベルリン・ジャズ・フェスティバルに出演
 した日野皓正グループのライブ音源。


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 〈曲目リスト〉

 1. バース・オブ・アクション
 2. サイクル・サークル
 3. オード・トゥ・ワークマン
 4. アローン・アローン・アンド・アローン

  その前年にも白木秀夫クインテットで同ジャズフェスに出演、すでに日本国内では人気を
 獲得していた日野さんでしたが、この時点でその視線は”世界”に向けられていたのでしょう
 。なんと人気のピークにあった自己のグループを解体。実弟でドラマーの元彦さんを残して
 大幅なメンバー・チェンジ実践。ピアノを排し、ギターの杉本喜代志さんを加えたニュー・グル
 ープでその檜舞台に立ちました。

  普通ならこんな大舞台に臨むものなら、気心知れた顔触れで行きそうなものですが、あえ
 て新しいグループでリスクを取るところが、今も変わらぬ日野さんらしいところではあります
 ね。

  まあ、現在でこそ日本人が海外のジャズフェスに出演したり活躍したりするのは珍しいこと
 ではありませんが、当時としてはもう画期的な出来事。そのへんは、今の大リーグ事情とよく
 似てますね。イチローさんも凄いけど最初にトライした野茂さんはもっと偉いみたいな。

  実際、この出演時のことがわかりませんが、日野さんの後に出演予定だったあの巨匠、デ
 ューク・エリントンがそれを嫌って、先に自分が出るようプロモーターに直談判。当然、知名度
 という点では遥かに上のエリントン目的のお客さんは、エリントンが終わればソソクサと帰って
 しまう訳で、まあ、エリントンととしては「名も無い東洋人の後なんかに出れるかよ。」といった
 気持ちもあったのでしょうが、こんな”東洋人差別的”な空気が当時は平気にあったという話で
 すね。

  こんなことを多少頭に入れながら音に耳を傾けてみると、なんとなく呼び慣れてなさそうな、
 ギコチナイ感じのMCの後の観客の反応(拍手)は微妙。パラパラといった様子で「名前くらい
 聞いたことあるけど、こいつらどんだけのもんだか?」みたいなムードが伝わってきます。

  しかしながら、演奏が始まると空気が一変!得体の知れない(失礼)東洋人らの怒涛のよ
 うな音はみるみる観客らを圧倒。ステージが進行するに連れて、最初の頃のどこか懐疑的な
 空気は完全に払拭されて驚愕へと。そしてエンディングの日野さん渾身のバラード「アローン
 ・アローン・アンド・アローン」が終了すると同時に惜しみない賞賛の嵐が注がれます。とにも
 かくにも冒頭とエンディングの拍手のギャップが凄過ぎます。コレは。

  そうです!日野さんはこの瞬間、世界への扉を自らの実力でこじ開けたんですね。当時の
 日本はというと、人気のあった日野さんへのやっかみみたいなものもあったのでしょう。日野
 さんの実力を認めないアンチ日野さん的なひともいたようですが、実際に音を聴いて、本物
 であれば、無名有名を問わず一応認めてしまうところは欧米人の美点かもしれません。

  音楽的にはオーネット・コールマンのフリー・フォーム、ジョン・コルトレーンのスピリチュア
 ル。そしてマイルスを少しミックスした感じでしょうか。日野さんの気合いの籠ったトランペット
 は今と変わりませんが、若さもあってフレディ・ハバードばりにバリバリに吹きまくってますし、
 杉本さんのギター・サウンドが実は大きなキーになっているようにも思います。

  今の耳で聴いてもかなり前衛的であり新鮮に響きますから、当時の日本のジャズの凄さ、
 とりわけ日野さんらが世界レベルに到達していたのはまず間違いなく、特に「こんちくっしょ
 〜!」といった反骨精神が更なる”迫力”を引き出したのでしょう。こういうのって現在はちょ
 っと希薄になってきてますかね。

  日本のジャズを語る上で絶対に外せない記録的な一枚。残念ながら現在は廃盤になてい
 ますが、日野さんのアルバムは再発されるものもありますので聴きたい方はそれまで待って
 みるのも一考。勿論、中古ショップで見かけたら買っておきましょう。ヤフオクはレコードは見
 かけるのですがCDはめったに見ませんね。





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posted by sou-un at 13:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | ザ・廃盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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